東京都福生市にある石川酒造さんは、ビール「多摩の恵」と日本酒「多満自慢」でおなじみです。そんな石川酒造さんで、このたび醸造所見学をさせて頂きました。
入り口には、石川酒造の日本酒、「多満自慢」の文字。石川酒造さんは1863年から日本酒を作られています。1863年といえば、日本は幕末まっ只々。ちょうど新撰組が設立された年です。
石川酒造の敷地内には、歴史ある建物が並んでいます。国の有形文化財に登録されているものもあります。
これは仕込み水です。地下から湧き出た水を仕込み水として使用していて、ph調整はしていないそうです。
ビール醸造所見学
醸造施設の入り口には麦芽を保管する倉庫があります。この向かいに、麦芽の粉砕をする部屋がありました。
麦芽の粉砕作業はその後の工程に影響を与えるとても重要な作業だと、醸造家の方はおっしゃっていました。細かく粉砕し過ぎると、麦芽から抽出できる糖分は多くなりますが、濾過に時間がかかってしまいます。逆に粉砕が粗すぎると、麦芽から抽出できる糖分が少なくなってしまいます。
そうして粉砕された麦芽は、隣の部屋にある糖化槽と呼ばれるタンクに運ばれていきます。下の写真の一番左が糖化槽です。真ん中は、熱いお湯を貯めるホットリカータンク、右は煮沸釜です。
糖化槽には、かき混ぜるための機器も付いていました。ここで麦芽は温められ、麦芽に含まれるアミラーゼという酵素によってデンプンが糖化されます。
こちらは煮沸釜。糖化によってできた麦汁を煮込みます。ホップはここで投入されます。
そうして出来上がるのが、この「多摩の恵」です。
左から、ペールエール、ピルスナー、ミュンヒナーダーク、ベルジャンウィットです。奇をてらわない王道のビアスタイルを丁寧に作り上げています。ビールに限らず、基本的なものをしっかりと美味しく作れる、というのはとても大事なことです。
この日は、多摩の恵を飲みながら、醸造家さんのお話を聞くことができました。なんとも贅沢な時間です。頂いた料理もとても美味しかったです。
ビールの歴史を感じられる資料館
石川酒造さんの敷地はとても広く、いろいなものがあります。中でもこの資料館には、ビールをはじめとする歴史的な展示物を見ることができます。
明治10〜20年代は、日本の各地でビールが作られていました。この時期に作られていたビールの多くは、ドイツ式のラガービールだったそうです。ちなみに、その辺りのビールの歴史の話はこの本がとても面白いです。
石川酒造さんでも、この時期ビールを作られていました。
こちらは明治期にビール作りに使われていた釜です。大手ビール会社にも残っていない、貴重な遺産です。
他にも、敷地内にはレストランがあり、できたてクラフトビールとイタリアを楽しむことができます。
まとめ
クラフトビールの魅力の1つは、作り手さんとの距離が近いことです。そして、皆さまそれぞれが、様々な想いとこだわりをもってビールを作られています。そして設備にも個性があります。それに触れることができる、とてもいい機会でした。