ビールって、どうやって作るのでしょうか。
一言でいうと、麦に含まれる糖質を、ビール酵母が発酵し、アルコールと炭酸ガスに分解することで作ります。
「麦芽100%」と「麦100%」って違う? 〜麦芽とは〜
ビールのCMでよく「麦芽100%!」という言葉をよく聞きます。聞きなれた言葉ではありますが、麦芽ってなんでしょうか。麦と違うのでしょうか。
麦芽とは、ただの麦ではなく「発芽した麦」のことです。麦を2日程度水に入れることで発芽します。小学校の授業で、あさがおの種を水に浸しておくと、芽がでてきたのと同じです。
なぜ、わざわざ発芽させるのでしょうか。
麦に含まれるのは糖質である「でんぷん」です。理科の実験で、要素液をかけたら紫になったやつです。ですが、ビール酵母はでんぷんをこのまま発酵させることができません。でんぷんは、単糖類が複数結合した多糖類で分子量が大きく、ビール酵母がそのまま取り込めないためです。酵母が取り込めるようにするためには、でんぷんの結合を細かくきり、単糖類にする(=糖化する)必要があります。
麦が発芽して麦芽になると、麦の中にでんぷんを糖化させるための酵素ができます。この状態で麦芽を細かく粉砕し、温水でお粥状にすることで、酵素の力ででんぷんを糖化することができます。これで、ビール酵母によって発酵させることができるようになります。
一番麦汁とは
糖化したものをろ過します。これが麦汁です。ちなみに、CMでよく聞く「一番麦汁」とは、一度目にろ過した麦汁のことです。一度ろ過した絞りカスの中にはまだ糖分が残っているので、お湯をかけてこの糖分を洗いだします。これが二番麦汁です。
煮沸とホップの投入
麦汁を沸騰させます。ここで、ビールには欠かせないもう一つの原料であるホップを投入します。ホップを煮沸することで、ビールに必要な苦み成分を抽出します。
ビール酵母による発酵
煮沸した麦汁にビール酵母を加えて発酵させます。発酵により、糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されます。
ちなみに、酵母にはラガー酵母とエール酵母の2種類があり、これによってラガービールになるか、エールビールになるかが決まります。
できたものを「若ビール」といい、これを熟成させるとビールの出来上がりです。
最後に
ざっとビールの作られ方をまとめてみました。「麦を麦芽にしないとビールができないなら、麦100%っていうのは何?」という疑問が浮かんだ方、いいご質問です。そのポイントは、「第3のビール」ですが、これについてはまた今度。乞うご期待。