常に変わらないことは、常に変化をしているということ

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「変わらないこと」を、ともすると悪いことする考え方があります。変わらないことは、退屈であり、変化することこそ大切である、という考え方です。変化が大切なことである点は賛成できる反面、変わらないことに対しては、もう1つの観点が必要です。それは、変わらないことは、変化し続けることである、ということです。

変わらないために、変わりつづけること

例えば、和菓子作り。先日、和菓子職人さんの話を聞いたのですが、小豆を煮るときの火加減や時間は、季節や天候によってその都度異なるため、その時の状況を読んでつくる必要があるそうです。そうやって、日々の変化に対応することで、変わらない美味しさを作っているそうです。

例えば、静止衛星。地上から見るといつも同じ場所に止まって見えるので、静止衛星と呼ばれるわけですが、地球は動いているので、人工衛星は地球の動きに合わせて動き続けています。

例えば、ウイスキー。バランタイン、ジョニーウォーカー、響といったウイスキーは、様々なウイスキーをブレンドした「ブレンディット・ウイスキー」と呼ぼれるものです。ウイスキーの原種は、作られる蒸留所はもちろん、その年の気候、樽の状況などによって味が様々です。1つの蒸留所で作られた原酒だけから作った「シングルモルト」は、そうした個性の違いが楽しめます。一方で、ブレンディッド・ウイスキーは、変わらない美味しさを楽しむことができます。

そんなウイスキーをブレンドする人のことをブレンダーと呼びます。ブレンダーは、作られた時や場所によって異なる様々な原酒をブレンドし、いつも変わらない味を作り出しています。

世の中は、諸行無常。常に変化し続けています。変化し続ける世の中で、変わらずにあり続けるためには、実は日々絶え間なく変化し続ける必要があります。